GWで三多摩ブラタモリなぞしているうちに、いくつもの注目すべきニュースが世間を賑わせている。以下、雑感である。1.舛添某の税金および政治資金たかり問題
「自分は選ばれた人間であるから愚民の金をどう使っても構わない」という選民思想に凝り固まった人間が言い訳を繰り返す。1回目の「No Problem」開き直り会見、2回目の「お正月に旅先で会議したけど詳しく言えない」会見で世論は全く納得せず、「しっかり精査して改めて報告する」ことになった。こうして時間を自ら作ったことで、舛添某の都知事辞任は決まった。そもそも都知事の辞任は世論や週刊誌で決まるものでなく、都議会の追及で決まる。本会議が開かれるのが6/1。あと2週間、世論の批判が長持ちするか心配されたが、舛添某は2週間、問題を引きずることで墓穴を掘った。6月早々に舛添某が選民から転落する。
2.三菱自動車工業の虚偽燃費データ問題
問題発覚直後の緊張感の全く無い三菱自工社長のボンクラぶり。「データ改ざんは現場が上を喜ばせようとしたにすぎない」ってお前は評論家か。聞けばこのボンクラ、三菱重工業の大会長のバカ息子だった。三菱自工ってバカボンでも社長になれるんだ。だって三菱自工は三菱グループの下の下の下の会社だから「どうしようもないバカボンに社長やらせとけば」のグループ社風があった。バカのボンボン社長を決めたのは金曜会と呼ばれるグループ経営者会議。岩崎弥太郎にならって会議で天下国家を論じるのは良いけれど、お前らは岩崎翁じゃないぞ。偉人を持ち出して自分たちも偉人であるかのような錯覚に陥っているこちらもバカの集まり。結局、三菱自工は日産に吸収されるけど、バカグループはバカボンを追い出しただけでこれからも存続する。
3.株安・円高でアベノミクス崩壊
結局、安倍晋三の経済政策は破綻していることが露呈した。庶民感覚ではずっとアベノミクスの失敗が分かっていたけれど、株高・円安といった指標上で好調を示す経済状況が続いた。何のことはない、トヨタなど一部の大企業が大儲けしたに過ぎない。この間、国民の所得は目減りを続け、苦しい生活はインフレによりますます苦しくなった。大企業の「おこぼれ」がやがて中小企業や一般従業員に還元されるというトリクルダウン(シャンパンタワー効果)は絵に描いた餅だった。日銀の手詰まりがちらりと見えると、投資家は「日本」を見放した。急激な円高・株安。アベノミクスと黒田バズーカは所詮、投資家に期待させるだけのもので、国民生活の改善とは何の関係もないものだった。安倍バカ政治の終焉の始まりである。問題はバカの首に鈴をつける勢力がないこと。民進党とかいう新党にはもちろん何も期待できない。4.伊勢志摩サミット+オバマ米現職大統領広島訪問決定
そもそもサミットは政治家の顔合わせにすぎない。「先進国は仲良くやってるから世界は大丈夫」という政治ショーである。中身など何もない。当日、役人が作った声明を声に出して読んでみるだけのことである。本来なら何も言わなくても良いが、政治にはそういうムダを承知で「お手々つないでちいぱっぱ」を見せる必要があるから反対はしない。参加各国はそれが分かってるから、ついでに意味のある二国間会議を開いたりして時間を有効利用しようとする。その延長線上でオバマ大統領が決定したのが広島訪問。オバマ広島訪問については稿を改めて記事を書きたい。
5.憲法学者小林節慶応大学名誉教授参議院選出馬
マイナーなニュースのようでいて実は日本政治に大きな影響を与える可能性がある。小林節はいつも眉間にしわを寄せて、昨年の安保法制に反対の論陣を張った。「安倍のバカにつける薬はない(安倍の言うとおりに安保法制が達成される)」として半ば諦め、その一方で野党間選挙協力の仲介から政界再編に動いていたが、結局、民進党にさじを投げた。「民進党はどうしようもないから自分でやる」ということで、小党「国民怒りの声」を立ち上げて参議院選挙に臨む。国民は安倍自民党を許せないが民進党はもっと許せない。共産党は嫌い。そういったリベラル派国民の支持が雪崩をうって小林新党に流れる可能性が指摘されている。参院選挙後の政界再編は小林新党を軸に動くとも言われており、今から注目である(産経自民党お抱え新聞はさっそく小林新党に対するネガティブキャンペーンを張っている。自民党・保守勢力がいかに小林新党を怖がっているかの証左である)。
6.アメリカ大統領候補トランプ氏の大統領選出が現実味を帯びる
当初、泡沫候補の一人に過ぎないと見られていたドナルド・トランプ氏があれよあれよという間にアメリカ有権者の支持を受けて共和党トップ確定。民主党トップのヒラリー・クリントンとの一騎打ちもまたクリントンの圧勝のはずがいつの間にかトランプ優勢。「あんな下品なおやじに何ができる。アメリカの良心はどこに行った?」との声はアメリカの庶民から聞かれない。「アメリカの良心」って何? 結局、クリントンに代表されるアメリカ富裕層が良心の呵責もなくやりたい放題してきたことへの反動である。アメリカ庶民は怒っている。もう金持ちの搾取には耐えられない。アメリカ高級紙の社説がいくらトランプを叩いても、庶民はそれに快哉を叫ばない。ガラガラポンの時がやってきた。金持ちに牛耳られた既存社会が崩壊する。トランプ革命である。庶民がもつ本当の「アメリカの良心」が働けば、アメリカ発でグローバル新自由主義社会に終止符が打たれるかも知れない。もちろん世界はいっとき停滞・混乱するだろうが、常に右肩上がりの成長を金科玉条としてきた強欲資本主義を止めるにはトランプ大統領就任しかないのかも知れない。
7.パナマ文書流出し資産家のタックスヘイブン活用が白日の下に
今年の流行語大賞最有力候補がタックスヘイブンで租税回避地の意味である。要は税金を払いたくない資産家が無税もしくは低税率の海外地域に資産を移して税金逃れをしている。税金を払いたくないのは誰しも同じ。人間は金銭欲にまみれた存在なのだから。芸能人などの高額所得者やほとんどすべての大企業は「節税」と称して、一般庶民や中小企業から見ると「ズル」としか思えないような「工夫」「努力」をしている。しかし節税は脱法行為ではない。あからさまに手持ち資金を庭に埋めたり、会社で二重帳簿を作ったりすることが脱税として摘発される。タックスヘイブン活用は節税と脱税の中間であり、法的にはグレーである。しかし、税金逃れの道義的そしりを免れない。世界中の庶民が金持ちの金銭欲成就に怒っている。「俺たちも金銭欲を満たしたいのにそれができないのは不公平だ」と。
さて、そんな人間の本性として金銭欲を発揮する人間がここ三多摩にもいた。そりゃ、いるに決まっている。都会の人間が金銭欲にまみれ、田舎の人間が清貧を好むはずもない。いくら23区の人間から、
「中野の向こうに同じ人間が住んでると思わなかった」
と言われようとも三多摩に住むのは同じ金銭欲を持つ人間。ここでは2つの具体的事例を紹介しよう。
5月某日、トシは14:30pmの約束でメガバンク三多摩支店お客様資産運用相談に赴いた。相手は地方支店支店長代理の肩書をもつ女性エリート銀行員、聡乃(さとの、28歳)。待ち合わせ場所は銀行2階の一般客の相談用スペースでなく、銀行隣接ビル4階のVIP客用半個室前。トシは14:20pmに半個室前に到着。忙しい聡乃を10分前に呼び出すのは悪いので半個室のついたての前で時間をつぶす。半個室で女性銀行員が資産家のおばあさんの相談を受けているのを聞くとは無しに聞く。
「だからうちの嫁、なに考えてんだか。私がお金握ってて、いずれそれが自分のものになることが分かってて、ぜいたくし放題。孫3人にいっぱい習い事させていくら使うつもりか…。」
「そうですわね。でも金銭感覚がマヒするくらいお持ちだということで。それにお孫さんの習い事は決してお金を無駄にすることじゃなくて、この際、未来への投資ということでお考えになられては…」
「私もね、孫が可愛くないわけじゃないのよ。要は程度問題。あんなに毎日、塾だ、バイオリンだ、サッカーだってやらせてたらキリがないし、孫たちも大変だって言ってるのよ。嫁の方こそ、孫を可愛がってないわよ。私、言ってやったわよ。
『サッカーするのになんでお金を使うのよ。子供は友達とわあわあ言いながら遊ぶのが仕事でしょ。サッカー選手にでもするつもり?』
そしたら嫁、何て言ったと思う?
『お義母さま、分かりませんわよ。ひょっとしたらサッカー選手になるかも知れませんわ。その可能性を摘んでどうするんですか。』
だって。そんな夢みたいな。それで言うに事欠いて、
『サッカー選手になったら、お義母さまの大好きなお金もいっぱい入りますわ。そのときになって悪かったって言っても知りませんから。』
そんなこと言われて、私、悔しくて悔しくて…。」
「そうですねぇ。サッカー選手にはふつうなれませんね。お嫁さんも、もっと現実的な投資を考えられた方がよろしいですわ。で、この金融商品ですが、ある程度、ご投資頂けたらほぼ確実に数%の利子が付くんですよ。そのしくみは…」
「私、投資のしくみは分からないけど数%の利子っていいみたいね。でも嫁と来たら、
『バカみたいに増やすことばっかり考えないで、もっと使うことを考えてください。』
って私のこと、バカにするのよ。いったい誰のおかげでぜいたくできてると思ってるのか。ぜーんぶ、息子の稼ぎ。私が息子をちゃんと育てて、そこそこの大学行かせて、正社員の給料もらえるようにしてやったのに、息子は嫁の言いなり。それでも足りないって言うから、私が家のお金を出して、家のリホームの代金払ったり、外車買ってやったり、孫の教育費出したり。もっと感謝してくれてもいいはずでしょ。」
「リフォームはお金かかりましたね。そんなときに困らないように資産運用されてるわけですもんね。」
「リホームたって何も手を入れる必要ないのに、システムキッチンの高さを特注したり。おかげで棚に手が届かなくてかえって使いにくくなって。嫁はそんなに台所に立つわけじゃないんだから私が使いやすいようにほっといてほしかったわ。」
「そうですわねぇ。でもお嫁さんとしては将来、自分のお金でリフォームするのが待てなくて…」
「将来、将来って今生きてる私の生活が大事なのよ。嫁はなんだか私に『早く死ね、早く死ね』って言ってるみたいでつらくてつらくて…。」
要するにVIP客用資産運用相談というのは、銀行員が資産家のおばあさんの愚痴を聞いて、ふだんからのコネを大事にして、機会を伺ってなんとか資産を投資に持ち込ませようとする企みなのだった。そうやって支店長代理の肩書きをもつ幹部候補エリート銀行員の出世競争は進んでいく。
日本には1億円以上の資産をもついわゆるお金持ちが100万人いる。そのうち、今、話題になっているタックスヘイブンを活用しているのは実に10万人にもおよぶと言われ、そのうちパナマ文書に載っている日本人は約1万人である。三多摩の資産家のおばあさんも100万人のうちのひとりだが、ケイマン諸島と言われてもなんのことか分からない田舎者である。当然ながら彼女の名前はパナマ文書に載っていない。
トシは14:30pmきっかりになって聡乃を呼び出すと、年寄りの愚痴を聞くVIP客用半個室でなく、隣の超VIP客用完全個室に案内された。メガバンクでも三多摩の田舎支店にあっては、半個室は世間話、完全個室は正式商談という使い分けをしているのである。トシは超VIPではないが、さすがに難しい資産運用の説明をするときは、雑音を排して考え事ができるスペースが用意されるということである。
聡乃が話したかったのは、トシ用にNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の口座ができたから、毎年120万円ずつ投資してほしいということ。それはできないことではなく、現実的な話だが、トシはそこまで聡乃を喜ばせる義理はない。ノド元まで出掛かった言葉をぐっと飲み込む。
「分かった。毎年120万円の投資するから、1年にいっぺんヤラせろ。一発120万円は超高級娼婦だぞ。エリート銀行員のプライドも傷つかないだろ。それで出世できたら安いもんだ。別に減るもんじゃなし。」
一方、トシが聞きたかったのは資産運用の現在状況の不明点。いくつかの比較的安全な金融商品に投資したはずの金額が現在の評価額とかなり違う。金融商品まるごとひとつぶっとんだのかという質問をしたくて聡乃に会いに来た。トシは客に手渡しのみ許可される明細書を確認。豪ドル外貨預金に近い定額年金保険200万円はいっとき300万円になっていたのが大きく評価を下げている。元本割れはしていないけど円安為替差益分100万円がこのところの円高為替差損でそのまんまぶっとんだ。また、豪ドル投資で気をよくしてぶっこんだ投資型年金保険が同じ理由で元本割れのマイナス100万円。10年キープしたら損をある程度補てんしてくれるから良いようなものの現状は悲惨である。だまされたわけじゃないけど投資は難しい。トシはノド元まで出掛かった言葉をぐっと飲み込む。
「元本割れした金融商品はあんたの勧めで購入したわけじゃないけど、おんなじ銀行の責任だろ。200万円返せとは言わないから、一発、いや二発、ヤラせろ。一発100万円ならいいだろ。それでこっちの気持ちが収まったら次の投資意欲も湧くってこと。それにあんたも気持ちよくなるんだったらいいじゃない。」
投資のまじめな話は30分ほどで済み、世間話が二人の間で交わされる。
「聡乃さんはこの半年の間に結婚されたんですね。」
「えっ? ああ、この指輪。よくお分かりで。」
「前はファッショナブルな高級ダイヤリングでしたもんね。」
「えっ? よく覚えてらっしゃいますね。」
半年前は左手薬指に派手なリングをちらつかせてたけど、それは、
「あたしにゃ、恋人がいるぞ。手ぇ出すなよな。」
のサイン。言い寄ってくる男への予防線。聡乃はトシまで自分の男関係に関心があるとは思わなかったようである。
「トシさんって見るからに上品な方。変な目で私を見ることはないわよね。だから2人きりでも大丈夫と思って超VIP客用完全個室を用意したの。」
いやいやそんなことはない。トシも危険な男である。トシはノド元まで出掛かった言葉をぐっと飲み込む。
「そんな結婚指輪も婚約指輪も恋人リングもまったく目に入らない。愛するハズやフィアンセやカレシがいたって構わない。僕と一発、ヤラない? 黙っててあげるからさぁ。」
派手な恋人リングにせよ、結婚指輪にせよ、それらは女性自身がつけたがる魔除けの場合もあるが、聡乃の彼氏がつけさせた首輪の意味もある。聡乃の恋人は他の男に、
「この女、俺のもんだから手ぇ出すんじゃないぞ。」
と言いたいわけである。聡乃自身に対しても、
「このリングをはめてる間は浮気すんなよ。貞操帯だからな。」
と脅してるわけである。トシはノド元まで出掛かった言葉を再び飲み込む。
「男に束縛されて嬉しがってるようじゃまだまだ。僕のテクを知ってしまったら貞操帯なんてほおりだしたくなるって。リングはめたままでいいから、今からホテル行こ♪ めくるめく快感の世界を教えてあ・げ・る♡」
年間100万円程度の投資云々を問題にするトシはそれなりの金銭欲をもっているが、1億円以上の資産をもつお金持ち100万人に入らない。100万人に入らないからタックスヘイブンを活用する10万人にも入らないし、「パナマ文書」に載っている約1万人にも入らない。一方、性豪ブラックリスト「バナナ文書」にはトシの名前が載っている。トシはもはや二十歳そこそこのヤリたいサカりではないが、まだ金銭欲と同程度の性欲をもっている。バナナ文書は流出していないが、文書には性欲旺盛なトシの名前と性的要注意人物としてのアブナイ発言が赤裸々につづられている。
「サ、聡乃、ボ、僕のバナナ、咥えてみるかい?」
下ネタじゃねーかっ!
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【小説】パナマ文書に載らない三多摩の金銭欲 ~舛添某、三菱自工、安倍晋三、トランプの共通因子は~
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